ODE本はロボット工学の初歩的なことを広く浅く紹介していますので,さらに勉強をするための教科書を紹介します.私はコンピュータ科学を専攻したので,ロボット工学に関しては多くの良書に出会い,また,ロボカップに参戦しながら学びました.ここでは,個人的に大変お世話になった良書を紹介します.
ロボット工学―機械システムのベクトル解析,広瀬茂男著,裳華房
ODE本の運動学を計算する手法は広瀬先生によるものです.ロボット工学の教科書の多くはDH記法を使って運動学を説明していますが,これがわかりづらく挫折する人が続出します.
その点,広瀬先生の手法はシンプルでわかりやすいもので運動学が好きになります.運動学以外の部分でも大変わかりやすく書かれており,ロボット工学を理解するために読んでおきたい教科書です.ロボット工学を教えていたときは,この教科書を使い,学生にも好評でした.
ただ一つの欠点は価格が4725円と高いことですが,その価格でロボット工学を理解できるので十分元は取れます.学部低学年でも十分に理解可能です.
はじめてのロボット創造設計,米田完,大隅久,坪内孝司著,講談社
ロボカップでロボットを作るとき,ODE本の執筆に際しても参考にさせて頂きました.ロボットを実際に設計し,作る人はまず読んでおきたい本です.ロボコンなどのロボットコンテストに参加している学生はただやみくもに作るのではなく,このような本で勉強し,基礎をしっかりさせてから作ると結果がついてくると思います.
ODE本でも紹介していますが,私の知る限りヒューマノイドロボットに関する教科書としてはこれしかありません.著者の梶田さんを存じ上げていますが,本質をついた明快な語り口のためファンが多いです.この本の随所に梶田さんの思想を読み取ることができます.ただし,HRP-2を実際に動かしている技術をまじめに(数式テンコ盛りで)説明しているので数学,力学の素養が相当ないと完全に理解することは容易ではありません.学部高学年,大学院生向けです.
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