豪華なRoboCup2005フェアウェルパーティ
RoboCup2005の5日間に渡るバトルも終わった。RoboCupは宗教に例えられるほど魅力があり一度参加するとやみつきなる。19日にハイアットで開催されたRoboCupのフェアウェル(さよなら)パーティではアトラクションとして日本太鼓が地響きをたて鳴り響き熱狂したフェスティバルに終止符を打った。99年からRoboCupに参加しているが今回が最も豪華なフェアウェルパーティであった。
さて、今年の大会を振り返ると中型ロボットリーグではEIGENがなんとか優勝し開催国の面目を保ったが、Fu Fighters、COPS(ドイツ)、Philips(オランダ)、Minho(ポルトガル)などのヨーロッパ勢が非常に力をつけてきた。特に、Fu Fightersはロボットが1台も故障しない状態で決勝を戦っていたら結果がどうなったかわからない。来年はドイツでRoboCupが開催されるので日本勢は苦しい試合になることが予想される。
以下、日本勢が苦戦した原因を解説する。
1. ルール改正によりヨーロッパ勢が有利に
ボールがタッチラインやゴールラインを割った場合にFIFAのサッカーと同様にボールを出した相手側のチームによるスローイン、コーナーキック、ゴールキックなどのセットプレイが導入された。そのため、昔のWinKITのようにスピードが速いだけではだめでボールを確実にキープしなければならない。
また、セットプレイ導入により試合が中断され、スピードの遅いロボットもその間にディフェンスを固めることが可能となった。
このルール改正自体はFIFAのルールに近づいているので望ましい方向だと考えられるが、問題なのは以下の述べるフィールドの大きさと比較してシュート力が強すぎる点である。
2. シュート力の差
Philips、Minho、Fightersはシュートがとても強力である。特に、Philpsはゴールキックで得点が可能である。キックすると2バウンドしてゴールの上段に突き刺さるように設計されている。ロボットに手でもつけなければそのボールを止めることはできない。Minhoは空中には浮かないがシュート力はPhilips以上でディフェンダーにぶつからなければキーパはそのボールを止めることができなほどスピードが速い。数年前のデータだと両者ともボールのキックスピードが8m/sもある。一方日本勢はキック力もあるTrackiesでもその半分のキック力もないであろう。
Philipsのような小林サッカーまがいのスーパーキックがRoboCupの健全な発展に寄与するかどうかは疑問である。Philipsのようなチームが増え、ロングシュートの応酬ばかりになると観客も面白くないし技術も発展しないであろう。
しかし、キック力を制限するようにルールを改正するとPhilipsもMinhoも出場できなくなるのでアンフェアである。キック力の上限を現在最大のキック力を持つMinhoに制限し、8x12mのフィールドを大きくするしか方法がないと思われる。現在のコートでは12台のロボットが動き回るには少々狭すぎる。もちろん、日本の技術力でPhilipsやMinhoに負けないキック力を開発することも必要だ。
3. ビジョンシステムの差
試合では明確にわからなかったが、COPSやFuFightersはゴールやコーナーポストの他にタッチラインやゴールラインなどを見てロバストに自分の位置を推定している。来年の大会では大きな窓がある会場で試合の開催が検討されており色だけに頼った物体識別や自己位置推定ではうまくいなかい可能性が懸念される。日本勢はドイツ勢と比較してビジョンシステムは遅れているのでこのレベルアップが重要である。
RoboCupではサッカー競技会の他に技術的に難しい課題に挑戦するテクニカルチャレンジという競技もある。今年、テクニカルチャレンジで上位に入賞したチームはサッカー競技でも上位に入賞しておりサッカー競技会で勝つためには高い技術力が必要になってきている。RoboCupのレベルがまた一段と高くなったことを実感した世界大会であった。
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