Webots講座の2回目です.さっそく,Pythonを使ってロボットを動かしてみましょう.
レファレンス
環 境
- Windows 11
- Anaconda3 (Python 3.11.7)
- Webots R2023b
Webotsの日本語化
- Webotsは公式に日本語対応しているので変更しましょう。
- Webotsを起動する.
- 窓の上部にあるメニューバーの[Tools]→[Preferences…]→[General]のLanguage:を”Japanese-日本語”にして[OK]をクリックする.
- 設定を変更したので[Restart Now?]という窓が開くので[Yes]をクリックするとWebotsが再起動して日本語表示になる.
Anacondaのインストール
- Pythonに加えて機械学習やデータサイエンス関連のライブラリをたくさん含むAnacondaを次のリンクの説明に従ってインストールします.Anaconda3やPython3.7, 3.8, または3.9がインストールされている場合はインストールの必要はありません.Anacondaは商用利用の場合は有償です.
AnacondaのProxy設定
- 大学や会社などProxy環境下にいる場合は,Proxy設定をしないとAnacondaを使ってpipなどでソフトウェアをインストールできない.
- 以下の.condarcファイルに次の内容のProxy設定をエディタで書いて保存する.
- C:\Users\ユーザー名\Anaconda3\.condarc
- 内容
proxy_servers:
http: http://プロキシサーバ名:8080
https: https://プロキシサーバ名:8080
- 設定の確認
- スタート→ Anaconda3 (64bit) → Anaconda Prompt (anaconda3) を起動
- 起動したAnaconda Promptから次のコマンドを入力
-
conda config --show
-
- 設定がいろいろ表示される..condarcに書いたproxy_serversが表示されていれば成功.
ライブラリのインストール
- WebotsにはコンピュータビジョンライブラリOpenCVを使うデモがあり,OpenCVはよく使うのでインストールする.Windowsのスタートメニューから→anaconda3(64bit)→Anaconda Prompt(anaconda3)を起動する.
- Anaconda Prompt (anaconda3)で次のコマンドを実行する.Proxy環境下でProxyの設定をしてもエラーがでる場合は,この演習ではOpenCVを使わないので,自宅で実行してインストールする.
Pythonのパス設定
- PythonがどこにあるかをWebotsに知らせるために,Windowsのシステム環境変数PATHを設定する必要があります.
- Windowsの下にあるタスクバーの左にある検索窓[ここに入力して検索]に「環境変数」と入力すると下図のように[環境変数を編集]が現れるので,それをクリックする.
- [環境変数]窓が開くので,Pathをクリックし選択してから,[編集(E)…]をクリックする.
- [環境変数名の編集]窓になるので,[新規(N)]をクリックする.
- [参照(B)…]をクリックしてpython.exeがあるフォルダを選択する.選択するとそのフォルダのあるパスが追加される.この例では,Anaconda3をユーザフォルダにインストールしているので,以下のフォルダになる.[OK]をクリックして保存する.
プロキシの設定
- 学内などのプロキシ環境下ではWebotsもプロキシ設定をする必要がある.
- メニューから[ツール]→[レファレンス…]→[Network]タブを選択して,以下の項目を入力したら[OK]をクリックする.
- Hostname: ホスト名.”http://”は入力しないでホスト名だけを入力する.
- Port: ポート番号を入力
- メニューから[ツール]→[レファレンス…]→[Network]タブを選択して,以下の項目を入力したら[OK]をクリックする.
WebotsのPythonコマンドの設定
- 次に,WebotsでもPythonコマンド(python.exe)のパスを設定しましょう.
- Webotsを起動して,メニューバーの[ファイル]→[ツール]→[プリファレンス…]を選択すると[プリファレンス]窓が開くので,Python command:を次のように入力して[OK]をクリックする.なお,このパスはpython.exeがある場所を指定する.パスはUnixのようにディレクトリはスラッシュ’/’で区切ること.私の環境ではバックスラッシュ’\’で区切ると動作しなかった.また,ユーザ名が日本語の場合やユーザ名に間にスペースがある場合に動くかはわからない.動かない場合は,ユーザ名を半角英語で作り直す.
Pythonの動作確認
- WebotsでPythonが動作するか確認しましょう.
- Webotsを起動して,メニューバーの[ファイル]→[Open sample world…]を選択すると[Open Sample World]窓が開く.
- [languages]→[Python]→example.wbtを選択して[OK]をクリックすると下図のような碁盤の目とかわいいロボット3台のワールドが現れる.現れれば成功!現れない場合は,Windowsのシステム環境変数にPythonのパスが正しく設定されていない可能性が高いのでPythonパスの設定作業を確認する.
はじめてのWebotsプログラミング
- 準 備
- プロジェクトを格納するフォルダとして”C:\ユーザー\ユーザー名\webots”をエクスプローラで作成する.
- 新規プロジェクトの作成
- メニューの[ファイル]→[New]→[新規プロジェクトのディレクトリ…]を選択する.ディレクトリはWindowsのフォルダのこと.下の窓が開くので[次へ(N)]をクリックする.
- 「ディレクトリの選択」窓になるので,ディレクトリをC:/Users/ユーザ名/webots/hello_worldに変更して[次へ(N)]をクリックする.下のdemuraは私のユーザー名なので,自分のユーザー名に変更する.
- 「World settings」窓になる.ワールドはシミュレータ上の仮想世界になり,ロボットはそのワールドで動作する.ここでは,ワールド名はhello_world.wbtに変更し,一番下の”Add a rectangle arena”にチェックを入れて[次へ(N)]をクリックする.ワールド名の最後のwbtはワールドファイルの拡張子.
- 「結果」窓になるので[完了(F)]をクリックする.
- 市松模様のボードRectangleArena(四角いアリーナ)が下図のように現れる.
- 次に,このRectangleArenaの属性を変えてみよう!左欄の上から5番目にある[RectangleArena “rectangel arena”]をダブルクリックすると展開され属性が現れる.まず,床のサイズを変更しよう.floorSizeをクリックすると,下欄[Selection floorSize (Vector2)]のxとyに2を入力するとサイズが縦横2倍になる.同様にして,floorTileSizeやwallHeightなどを変えて遊んでみよう.変更したらメニューバーの[ファイル]→[ワールドファイルを保存]を選択してワールドを保存する.
- メニューの[ファイル]→[New]→[新規プロジェクトのディレクトリ…]を選択する.ディレクトリはWindowsのフォルダのこと.下の窓が開くので[次へ(N)]をクリックする.
- ロボットの追加
- コントローラの作成
- ワールドとロボットを作ったので,次はコントローラを作成する.Webotsではコントローラをプログラミングすることでロボットを動かすことができる.メニューバーから[ファイル]→[New]→[新規ロボットのコントローラ…]を選択する.「新規コントローラの作成」窓が開くので[次へ(N)]をクリックする.
- 「言語選択」窓が開くのでPythonにチェックを入れ,[次へ(N)]をクリックする.
- 「名前の選択」窓になるので,コントローラの名前を入力する.ここでは”hello_world_controller”にして,[次へ(N)]をクリック.
- 「結果」窓になるので[完了(F)]をクリックする.
- シミュレーションが面の右にテキストエディタが開き,次のようなコントローラの雛形プログラムが自動的に作られる.
- ここでは,上の雛形コードを下のように変更します.プログラミング言語で定番の初めてのコードといえば,”hello, world”ですね.変更したらエディタの上にある赤枠で囲んだフロッピーディスクのアイコンをクリックして保存します.
- ワールドとロボットを作ったので,次はコントローラを作成する.Webotsではコントローラをプログラミングすることでロボットを動かすことができる.メニューバーから[ファイル]→[New]→[新規ロボットのコントローラ…]を選択する.「新規コントローラの作成」窓が開くので[次へ(N)]をクリックする.
ソースコードを説明します.5行目で controllerモジュールからRobotクラスをインポートし,8行目は Robotクラスのインスタンスrobotを生成します.11行目のtimestepはシミュレータのタイムステップを表しています.値としては32です.つまり,1ループで32[ms]シミュレーションを進めるという意味です.この時間を小さくすると計算精度は高くなりますが,シミュレーションは遅くなります.逆に大きくするとシミュレーションは速くなりますが,精度が悪くなり,シミュレータと実世界でのロボットの動きが変わってしまいます.16から18行目のwhileループで,コンソールに’hello, world.’とループの回数epochを表示します.
このコントローラはロボットを動かすのではなく,シミュレータが終わるまで,”hello, world”とループの回数がコンソールに出力し続けるだけです.
- ロボットへのコントローラ組込み
- 実 行
- Pythonなのでビルドする必要はありません.プログラムを実行するためには,まず,シミュレーション表示部分の上にある,[reset]ボタンを押して,シミュレーションをリセットして初期化します.次に,[run]ボタンを押すとプログラムが実行され,下欄の[Console – All]に “hello, world “とループの回数が表示されます.今回のプログラムはコンソールに”hello world”とループの回数を表示するだけの簡単なものです.次回は車輪型ロボットをプログラムで動かしますのでお楽しみに!なお,表示されない場合は,Pythonのコード(インデントなど)に問題がないか確認してください.
ハンズオン
- 新しいプロジェクトを作成して,次のハンズオンを実施してください.
- 市松模様のアリーナRectangleArenaのサイズを変更してみよう.
- 好きなロボットをアリーナに登場させよう.
終わり
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