RoboCup2003イタリア大会日記(準々決勝から帰国まで)

7月8日(火) 準々決勝 日本勢大活躍 ロックコンサートで踊り狂う?

準々決勝 WinKIT 13 VS 0 Trackies (阪大)
今日から第2次予選を勝進んだ8チームによる決勝トーナメントが始まった。競技は今日を含めあと2日で終わりである。WinKITは浅田研Trackiesと対戦する。Trackiesは 昨年まで山彦ベースだったロボットを全方向移動台車をベースにした新型ロボットに変更している。このロボットは実験をやるためには良いということだが重量が20kg以上と重くしかも外注 のため自分達で修理できない部品があるらしくこの日は3台で試合に臨んでいた。しかも我々との試合中1台調子が悪くな り、2台しか動いていない場面も多かった。ということで13対0という思わぬ大差で試合に勝った。それにしても、3台のロボットで決勝トーナメントに進むとはさすがはTrackiesだ。

しかし、決勝トーナメントでは競技専用に作った信頼性の高いロボットでないとロボカップには勝てない時代になってしまった。WinKITは今のところ特にトラブルらしいトラブルはない。

他の試合結果を以下に示す。順当に日本勢が明日の準決勝、決勝まで駒を進めた。

  • 慶応:Eigen 8 VS 0 ドイツ:Fu Fighter
  • 九大:Fusion 5 VS 2 日独連合:Musahi
  • イラン:Persia 5 VS 2 ポルトガル:Minho
  • 金沢工大:WinKIT 13 VS 0 阪大:Trackies
  • パーティ会場へ向かう一行 また、夜は大会主催のSocial Dinnerへいった。EigenとFusionはそこへは行かずに残って明日の試合に備えていた。今回のSocial Dinnerはパドア駅から電車で10分ぐらい離れたところにある野外の会場でステージがあり、ロック歌手がミニコンサートを開き大音量のなか多くの若者たちが踊り狂っていた。

    ロボットといえば、日本ではオタクっぽいイメージがあるかもしれないが、ロボカップに参加している人たちの中には女性も結構多い。中型リーグに参加しているEigen(慶応大)チームには数名女性がいる。しかも、リーダがなんと女性である。また、人工知能研究で有名なMITのAIラボには女性が多い。女性も十分活躍できるので、女子学生ももっとロボカップやロボットの研究開発に参加して欲しいものだ。

    ということもあるのか、今回のSocial Dinnerはロボカップらしいセンスのあるものになった。今まで1年間、ロボカップに勝つために情熱を傾け熱中して準備にあたってきた、多くの参加者にとっては絶好の気分転換になったに違いない。

    7月9日(水) 優勝の栄冠は誰の手に?

    Persia戦 WinKITの得点シーン  準決勝WinKIT
    5 VS 1 Persia

    準決勝では予選で負け、まだ1敗もしていないイランのPersiaチームとの対戦だ。このチームは完成度がとても高く勝つ可能性は少ないが 、昨年小型リーグからステップアップしたチームに優勝されたのでは中型ロボットリーグのレベルが問われかねないので何としてでも勝ちたい一戦である。予選はカウンター攻撃と相手のファウルまがいの攻撃により惨敗したが、決勝ではカウンターに対処するために1台バックを残した。また、スピードも予選より速くしたため常にイランチームよりボールを多く支配することができ5対1で勝つことができた。

    中型ロボットリーグも個人技だけでは勝てず、相手により戦術を変更しなければ勝てない時代になった。
    決勝戦 WinKITチームの得点シーンもう一つの準決勝はEigenとFusion戦だ。Eigenのロボットは去年もそうだが信頼性が低くすぐロボットが故障する。この試合もEigenのロボットが途中で2台動かなくなり2台で戦うことになった。ここまでくるチームの実力差はほとんどないので、こうなるとFusionの一方的試合になり、Fusionが6対1で勝った。

    決勝 WinKIT 3 VS 6 Fusion(九州大、福岡大)
    決勝はFusionと戦うことになった。予選では1対0で負けた。これもカウンター攻撃による失点だった。 カウンター攻撃には対応したので試合前は勝てるかもしれないと思ったが、対戦するとFusionの方が常に我々よりスピードが上回って有利に試合を進めていた。さらに、今まで見せていなかった相手フォワードのフェイントによりうちのディフェンスとキ
    記念撮影:左が優勝したFusionチーム、右が準優勝
    ーパーが逆をつかれて3点以上もこの攻撃だけで奪われてしまった。結果は6対3で負けてしまった。勝てるかもしれないと思っていただけに残念な結果だったが、 このような必殺技を決勝までとっておいた相手は1枚上手としかいいようがない。試合後、表彰式があったが昨年の世界大会と比較すると簡素なものだった。

  • 優勝 Fusion(九州大学、福岡大学)
  • 準優勝 WinKIT(金沢工大)
  • 3位 Persia(イラン)
  • 4位 Eigen (慶応大学)
  • なお、Fusionは来年度からヒューマノイドリーグへステップアップするという。好敵手が一つ減り残念だ。

    夜は宿泊しているホテルグランドイタリアの向かいにある中華料理屋(国際飯店Ristorante Cinese)へメンバー全員で行き、準優勝を祝った。昨年は準優勝でうれしかったが、今年はあまりうれしくない。

    7月10日(木)  由緒正しきパドア大学講堂でSDRが

    シンポジウムの招待講演は歴史のあるパドア大学の講堂で開催された。話自体は過去聞いたことがあったのでそれほど興味深くはなかったが、講演の後に実際にSDRのデモがありダンスなどを疲労した。その完成度の高さに驚いた。他の講演は昨日まで試合をしていたロボカップ会場であったので、パドア大学から30分以上も歩かなければならなかった。しかも、ヨーロッパは記録的な猛暑である。今回の大会はこういうところに配慮が行き届いていないと思った。皆、汗だくになってロボカップ会場まで歩いた。


    口頭発表も面白かったが、それより、ポスターセッションでイランチームが彼らのロボットについてソフトウェアを含めとても詳しく教えてくれたのでとても勉強になった。さらに、優勝したFusionチームがアルゴリズムについて詳しく教えてくれ参考になった。私はとても勉強なったが肝心の学生がいないのは少し問題だった。来年はポスターセッションには必ず参加するようにいっておかなければならない。ホテルに帰りIさんと夕食をいっしょに取ろうとしたところ学生たちもまだ夕食をとっていなかったのでまた中華料理屋にいった。 ここは料金も安く味も我々の味覚にあうので大変お世話になった。

    7月11日(金) After Festival

    聖アントニオ教会
    学生達はベネチアにお土産を買いにいった。Farewall(さよらな)パーティに参加するために17時にはパドア駅に戻るとのことだった。我々はまだパドアを観光していないのでイタリアではとても有名な聖アントニオ教会を見学した。詳しいことはわからないが建物はとても大きく中にフレスコ画が多くあり、それ自体美術館といったところだ。もちろん、イタリア中から信者が訪れる教会というだけあり、多くの敬虔なキリスト教徒が礼拝をしていた。

    私たちのような仏教徒が観光気分できてよいのだろうか。だが、日本でも京都ではキリスト教徒が多く、お寺を参拝しているではないか。気にしないことにした。昼食はアントニオ教会の近くのレストランで食べた。一人17ユーロの簡単なコースだった。観光地ということもあり味は期待していなかったがまずますだった。やはりベネチアとは違う。

    Farewellパーティに参加するためにロボカップ会場に向かった。教会の観光で疲れていたせいもあり仮眠が長くなり、会場についたのが6時30分ですでに開始から1時間も経過した後だった。昨日は6時からやるといっていたのに30分も早くやるとは。それでも急いでワインとビールを飲み、残っている日本人と談笑した。他の外国チームともっと話したかったがすでにほとんど残っている人は少なかった。ロボカップ世界大会は一種のお祭りだ。ロボカップに参加するとやみつきになってしまう。うちのOBも大学で何が面白かったと聞くと決まってロボカップに参加できたことだという。Farewellパーティで祭りも終わり、参加者もなにやら寂しそうだ。

    7月12日(土)息子の初デート

    ベネチア空港出発

    長かったロボカップ2003も終わり、ボストンに帰る日がやってきた。ホテルから空港まではバンの送迎サービスを利用した。12:45のAF1127便でベニスからパリへ飛び、パリからボストンへは15:55のAF322便で行く予定だった。乗り換え時間が1時間30分あるので問題なければ大丈夫なはずだが、行きも乗り換え時間が1時間30分あったが、乗り換えで失敗したので少し心配だ。

    心配は的中し結局乗り継ぎ便に間に合わず、しかもその日はボストン行きの飛行機は飛んでいなかったのでパリで一泊するはめになった。ホテル代と食事代はエアーフランスがもってくれた が1日無駄になってしまった。これは私たちだけではなく同じように乗り継ぎに失敗した人は多い。近くのアメリカ人に聞いたら彼女は4度目だという。ドゴール空港でのエアーフランスの乗り継ぎは悪いのでエアーフランスには乗らないほうがよい。ホテルでは同じように乗り換えに失敗した日本人親子と仲良くなった。特に4歳のAちゃんは息子のことが気に入ったらしく二人でいっしょにディナーを取りデートをしていた。最近の若い者は…..

    7月13日(日) 懐かしのボストン

    フランスのドゴール空港を13時ごろ飛び立ちボストンに15時頃ついた。荷物も多かったのでローガン空港からはタクシーを利用した。チップ込みで30ドル。イタリアに行くまではボストンのことを見知らぬ街に思えていたが、イタリアから帰って見るとボストンがとても懐かしく思えた。この日は時差ボケと長旅の疲れもありすぐ床についた。

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