9月6日に芝浦工大で震災対応ロボティクス・シンポジウムが公開されました。無料で一般の人も参加可能。今までのメディアでの報道では、日本製ロボットより米国製ロボットが先に投入され、日本のロボットがなかなか投入されないことに批判的でした。メディアは何故投入が遅れたかについてほとんど報道してこなかったと思います。このシンポジウムで、投入の遅れた理由がわかりました。 それは、次のとおりです。
- 緊急時の体制不備: このような災害時にロボットを使う体制ができていない。震災のすぐ後、ロボットレスキューチームは現地に向かったが、警察や消防からの需要がないの戻った。災害時は軍隊のような自己完結型の組織でないと活動は不可能。
- 東電からの要請が遅い:現在、福島原発で活躍しているロボットQuinceは4月中旬には対放射線試験が終わり投入できる体制になっていたが、東京電力から正式に要請があったのが5月20日.4月17、18日に米国製のPackbotが導入された。東電の要請に合うようにロボットを改造し、Packbotでレンズが曇る不具合があったので高温多湿の対策をした。6月16日に最終評価試験が終わり、6月24日に2号炉で地下汚染水のサンプリング開始。つまり、その気さえあればPackbotより先に投入可能だったことになります。
- 日本社会の問題:1999年の東海村臨界事故を受けて原子力災害用ロボットが作られたが、それを運用する組織が作られなかった。フランスやドイツはチェルノブイリ事故を受けて、原子力災害用の組織が現在でも運用されている。また、開発したロボットをどの省庁も電力会社も購入しなかった。
まとめると、ロボット投入が遅れた最大の原因はロボットの技術力ではなく日本社会の問題です。大規模災害や原子力事故などは政府がしっかり対策を練り、万が一の場合に体制を備えるべきです。我々国民も次の選挙では投票に行き、政策を良く調べしっかりとした政治家を選ぶ必要があります。ロボット関係者は今回の事実を多くの方に知ってもらう努力が必要だと考えます。今回のシンポジウムには、その観点からも重要な意義があったと思います。
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