池の平セミナー 朝の講話「教育が日本をひらく」の紹介


研修に来ている池の平セミナーハウスはKITの研究室なら自由に使える施設です。数研究室共同で使用するため、起床時間などの全体のスケジュールが決まっており、朝の集い(朝礼)もあります。その講話者になったので準備のため原稿を作りました。せっかくですので、このブログで紹介したいと思います。


今日は本の紹介をしたいと思います。慶應義塾長である安西祐一郎先生の「教育が日本をひらく―グローバル世紀への提言」というこの本です。

この本の中で一番ショッキングだったのは、今日本が150年以上も前のペリーの黒船以来の最大の危機にあるのではないかということです。ごく最近、アメリカのサブプライム問題に端を発した金融危機で世界恐慌になるのではないかという恐れがあります。それ以前にも投機資本による石油や鉄、あるいはレアメタルと呼ばれる希少金属など資源価格の高騰、さらに資源だけではなく小麦などの食物相場の高騰など、資源を持ち戦略に長けた大国の世界戦略の前に日本は非常に困難な状況に置かれているわけです。

この大国というのはアメリカ、ヨーロッパ諸国だけではなく、BRICsと呼ばれる、最近成長の目覚しいブラジル、ロシア、中国、インドなども入っています。このような多極化する世界の中で、今までアメリカ一辺倒だった日本が他の国とどのような関係を築き、日本をこれからも繁栄させていくことは非常に難しい問題です。つまり、幕末から明治にかけての国難と匹敵するぐらい重要な局面に遭遇しているわけです。

これを実感している日本人はどのくらいいるのでしょうか?皆さんの中に実感されている方は手を上げてください。 この解決はとてつもなく難しい問題です。

その難問解決に著者は、グローバル世紀へ対応するための教育改革を提唱しています。具体的な教育行政に関しては、この本を是非読んでもらうとして、皆さんに関係のあることをお話します。 それは、グローバル化に対応するために、「活力と知力に溢れる多様な人材」を育成することです。日本の大学進学率は約50%ですが、人口全体に占める割合ではOECD(経済協力開発機構)加盟国では下位グループに属します。また、大学生のうち、75%がKITのような私立大学なのです。つまり、日本全体の国力を向上させるためには、私立大学の学生のレベルを上げることが重要なのです。

そのためには何を勉強すれば良いか。大学の専門的な勉強は当然重要で、そのうえに、皆さんが今正に取り組んでいる卒業研究や大学院の研究で、「勉強や研究の仕方を学ぶ」ことです。卒業研究のテーマの多くは、予め答えがないと思います。皆さんが99%努力を惜しまず、1%の閃きがあれば、少しかもしれませんが何か新しいモノが必ず生まれるはずです。その新しいモノを生み出す方法は、苦労して自分で見つけるしかないのです。

これをいったん身に着けると、会社に入って、例え分野が多少違っても十分対応でき、今まで世界にない付加価値の高い新製品を創造できるようになるのです。 皆さんがこれからの日本を背負っているという自覚を是非持って、卒業研究に取り組んでください。

コメント

  1. yutakarlson より:

    ■麻生首相:追加経済対策に改めて意欲―単なるばら撒きに終わらせずに、社会変革を実施せよ!!
    yutakarlson
    yamada.yutaka@gmail.com
    http://yutakarlson.blogspot.com/2008/10/blog-post_07.html
    こんにちは。上記の危機私もおっしゃるとおりだと思います。
    現在麻生首相の追加経済対策、今必要な内需拡大のために減税や財政出動を行うこと、現状にあっては定石だと思います。ただし、私は、この経済対策従来と同じような手法で、社会資本の整備として、無駄な道路や港湾、空港への多大な投資や、独立行政法人に対して投資して役人や役人OBの無駄遣いの温床とする事があってはならないと思います。現在の八方ふさがりの状況では、社会変革にも目を向けるべきであると思います。そうして、この困難な時期ほど社会変革はやりやすいのではないかと思っています。やり方によっては、偉大な社会改革であった明治維新にも匹敵するような改革が可能だと思います。詳細は私のブログを是非ご覧になってください。

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