日米中韓比較:日本の高校生は本当にダメなのか

2010年4月8日の読売新聞の記事に「授業中居眠り」ワースト・・・高校生45%というショッキングな記事が掲載された。これは文科省所管の機関が日米中韓の高校生合計6200名を調査したもの。

その記事によると、授業中にいつも、ときどきする行為として、日本の高校生のうち45%が居眠りをしていると回答している。米国20.8%、韓国32.3%、中国4.7%であった。それよりもさらに問題なのが日本の高校生は家に帰ってから勉強しないことである。学校の授業と宿題以外勉強をしないと答えた率は、日本34.3%、米国24.3%、韓国17.5%、中国6.8%であった。

この記事を読んで皆さんならどういう感想をお持ちになるか?日本の高校生は勉強しないで困ったものだ。ゆとり教育が原因の一つではないかと考えられる方もおられるだろう。

先日、韓国中央大学の先生がこられたときに韓国では大学の進学率が約9割ということを聞いていたので、各国の進学率をネットで調べてみた。結果は以下のとおり。この数字は年度にばらつきがあり教育制度が違うので簡単には比較できないので目安と思って頂きたい。

  • 大学・短大等進学率(中国以外の出典:文部科学省教育指標の国際比較、中国:広州日報)
    • 日本:56.2%  (2008年)
    • 米国:64.8% (2006年)
    • 韓国:98.5% (2008年)
    • 中国:23% (2007年)

このデータを加えてデータを分析するとどうだろうか。日本の高校生は確かに勉強しないのは事実だが、これは大学・短大等への進学率が米国や韓国より低いためと考えることもできる。進学しないので宿題以外を勉強するモチベーションがわかないし、卒業後のことを考え将来に備えて勉強以外のことをしているかもしれない。

参考までに、宿題以外の勉強する割合と進学する割合との比を考えよう。これを勉強・進学比とする。これを見ると日本と米国はほぼ同じで進学率より勉強する比率が高く、韓国は逆に進学率より勉強する比率が低いので勉強せずに大学等へいく若者が少なからずいることがわかる。

  • 勉強・進学比
    • 日本: (100-34.3)/56.2 = 1.17
    • 米国:(100-24.3)/64.8 = 1.17
    • 韓国: (100-17.5)/98.5 = 0.84

このように進学率と勉強比で考えると日本の高校生もまんざらではないことがわかる。居眠りに関しては先生が居眠りをしないように講義を面白くしたり、寝ている生徒を起こす必要があると考える。教育に携わる者は,学生が勉強をする環境を作ることが大切である.新聞などのデータを鵜呑みにせず色々な角度から考察することが必要だ。

でむ

参考リンク

コメント

  1. HIDEO NAKASEKO より:

    こういう記事を選択出来るんですね。

    しっかりしたビジョンを持ったサイトだと、思います。

    • demu より:

      HIDEOさん,

      コメントありがとうございます.励みになります.

      ゆとり教育(創造教育?)から詰め込み?教育へ方向転換しているようですね.ゆとり教育で育ち,大学に入った学生の中には自宅での勉強が習慣付けられておらず基礎学力が不足しているものがいます.私のところの大学でも前の教育改革では創造教育が多く導入されそれなりの効果もありましたが,その分他の部分が削られているため弊害もあります.学生のレベルが2極化しているので両者のバランスを取ることはそんなに簡単なことではありません.

      でむ

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