2012年度ロボット技術分野ロシア人学生招聘プログラム

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1067日の両日、扇が丘キャンパスと金沢市内で2012年度ロボット技術分野ロシア人学生招聘プログラムが表1のとおり実施され、ロシア人(25)KITの学生・教職員(30)が交流を深めた。本学側はロボティクス学科の学生(10)、電気電子工学科1名、ロボティクス学科出身の機械工学専攻の大学院生(12)、並びにロボティクス学科の若手教員4名が参加した。

 

金沢でのスケジュール

106日(土) 

08:40 集合(1号館前)

08:40-10:00 学内施設見学(LC 夢考房)

10:00-12:00 講演(23-323

12:00-13:00 昼食(23号館ラウンジ)

13:00-18:00 ロボカップジュニア交流プログラム(23号館パフォーミングスタジオ)

18:00-19:00 移動

19:00-21:00 レセプション(ホテル日航金沢)

21:00      解散(同上)

 107日(日) 

08:40      集合(23号館パフォーミングスタジオ)

08:40-12:00 ロボカップジュニア日露親善大会(同上)

12:00-13:00 パーティ・表彰式(21号館ラテラ)

13:00-20:30 市内観光・夕食(武家屋敷、兼六園、成巽閣、金沢城、東茶屋街)

20:30      解散(ホテル金沢)

 

本プログラムは外務省が実施している日露青年交流事業の一環である。日露青年交流事業は、1998年の日露首脳会談での国民レベルの人的交流を抜本的に拡充すべきとの合意を受けて開始されたものであり、事務局として日露青年交流センターが設立された。

日露青年交流事業は様々な分野で実施されているが、ロボット技術分野での交流はロシア側から提案されたものであり、201110月に筆者が団長となり、本学と千葉工業大学の学生10名がロシアのクラスノヤルスク市を訪問し、シベリアロボットフェスティバルへ参加し、ヒューマノイドロボットのデモンストレーションや講演会などを行い、交流を深めた。2012年は、日本がホスト国となり、全ロシア・ロボティクス・フェスティバル2012の入賞チームから選抜されたロシア人大学生・大学院生(17)と教職員・技師(8)など計25名が日本に1週間滞在した。一行は東京、大阪、金沢を訪問し、本学での交流プログラムがメーンイベントとなった。以下、詳しく述べる。

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当日は天候にも恵まれ、予定どおり朝8時40分にロシア人一行が大型バスで本学に到着。2グループに分け、LCと夢考房を見学。LCでは世界を変えた初版本を体系的に蒐集した科学技術稀覯書コレクション「工学の曙文庫」を見学した。夢考房では本学工学教育の殿堂である夢考房26並びに41の説明があり、ロシアでは夢考房のように学生プロジェクトを大規模に支援するシステム並びに施設がないので羨望の目で見学していた

 10時から12時までは、講演並びにプログラムの説明を実施した。講演ではロシア側からロシアのロボコン事情と極東連邦大学でのロボット研究について、本学からは筆者が夢考房の概要と夢考房プロジェクトの強さの秘密、その具体的な事例としてロボカップについてビデオを交えてお話しした。

ロシアでは近代化の施策としてロボット研究開発・教育にも力を入れており、全ロシアロボットコンテストでは様々な種目が実施されているとのこと。日本ではロボットコンテスト(以下ロボコン)が盛んであり、NHKロボコン、ロボカップ、マイクロマウス、ETロボコン、大道芸ロボコンの他にも多くあるが、いずれも個別に開催している点が大きく異なる。ロシアのようにロボコンを一元化して実施する枠組みがあると、更に日本のロボコンが発展するものと考える。

昼食後、午後からは18時まで、竣工したばかりでピカピカの23号館パフォーミングスタジオでロボカップジュニア日露交流プログラムを実施した。パフォーミングスタジオでの初イベントとなる。

ロボットコンテストのテーマとしては、ロボカップの子供版(19歳以下)であるロボカップジュニアのサッカーチャレンジを採用した。本来はロボットの設計・製作から実施することが望ましいが、試合までの準備時間が5時間しかないため、事前に組み立てられた自律移動ロボットキットを利用し、参加者はプログラミングに専念することにした。日露交流が目的なので、ロシア人1名と日本人1名のペアにロボットを1台配布し、コミュニケーションを取らなければいけない枠組みを作った。当初、本学の学生がうまくコミュニケーション取れるか心配であったが杞憂に終わった。お互い英語はうまくなくても、伝えようとする気持ち、フローチャートやプログラミング言語などによりコミュニケーションを取り、全てのペアが試合用のプログラムを完成させた(2)。なお、ロシア人学生の多くはC++言語に習熟し、数学・物理などにも強く、理数系教育レベルの高さが伺えた。ロシアではソビエト時代からの伝統である理数系教育に力を入れており、勉強のできる生徒は理系へ、その他は文系学科へ進学することが一般的であると聞いた。予定していた5時間はあっという間に過ぎ、大型バスでレセプション会場に移動。 

19時からのレセプションはホテル日航金沢で行われ、日露青年交流センターの夏井事務局長、本学からは石川学長、交流プログラム参加者が主席した。レセプションは石川学長の歓迎スピーチから始まり、夏井事務局長の挨拶、ロシア側代表挨拶、金沢プログラム責任者である筆者の挨拶・乾杯となった。歓談の後、本学からロシア側メンバー全員に記念品が贈呈され閉会となり、初日のプログラムが終了した。 

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107日(日)  

840分にロシア人一行はロボカップジュニア日露親善大会の会場である23号館パフォーミングスタジオに集合。この親善大会では日本人・ロシア人ペア2組にDKTロボットスクールの小中学生を1名加えたチーム編成で試合を行った。DKTロボットスクールとはロボカップジュニアの理念のもと、ロボットをテーマとして小中学生が科学技術の楽しさを体験するスクール。運営はボランティアベースであり、筆者が代表を務める。科学技術教育と人間力育成を目的としている。

次に、ロボカップジュニアサッカーの概要を説明する。20cm程度の小型自律型ロボットによるサッカー競技であり、各チーム2台で構成され、人類のサッカーと同様に相手ゴールにボールを入れて得点を競う。ボールからは赤外線が放射され、それをロボットが検出してボールの位置を推定する。ロボカップジュニアでは、子供がロボットを自作して、プログラミングしなければならない。勝ち負けにこだわらず、いかに学んだかを精神としているところに筆者は大いに賛同する。

親善大会には12チームが出場した。4チームを3コートに分け、各コートで総当戦を行い、各コート1位と全体で4位の計4チームが決勝トーナメントに進み、勝ち抜き戦で1位から3位までを決める。ロシア人は純粋な心を持っている学生が多いのか、試合に展開に一喜一憂して大騒ぎ。それに呼応し、小中学生、本学の学生もヒートアップ。パフォーミングスタジオは大いに盛り上がり、会場全体に一体感が生じた。 この盛り上がりはロシア人のおかげである

結果は次のとおり。

l  優勝 IEMONチーム:ロボティクス学科13名、野田中学3年、リャザン国立無線技術大学大学院生、サラトフ国立工科大学4

l  準優勝 KEISUKE HONDAチーム:ロボティクス学科4年、電気電子工学科4年、長坂台小学校6年、サマラ国立航空宇宙大学 4年、サンクトペテルブルク情報技術・機械・光学大学4

l  3位 IKEAチーム:ロボティクス学科4年2名、明光小学校6年、アストラハン国立工科大学4年、サラトフ国立工科大学4

優勝はロボティクス学科1年生が主力の最年少チームであり、このチームのみ女性が2名、ロシア人女性がチームリーダーとして活躍した。なお、ロシア人と本学の教員チームPROFESSORSは予選で敗退した。これからの世界を変えていくのは若い人、さらに女性の力もますます重要となる。未来を示唆する結果となった。

試合後、会場を21号館ラテラに移し、表彰式・パーティが開催された。パーティには大会に参加した子供たちと審判等で大会運営に協力して頂いた保護者も参加した。子供達からロシア人へのクイズイベントなどもあり、これまた大いに盛り上がる。当日は天候が良かったので、ラテラの大きな窓から外光が差し込み、開放感のある高い天井と相まって晴れやかなパーティとなった(5)。これで本学でのプログラムは終了し、午後は金沢の名所を巡る市内観光となる。 

市内観光では、武家屋敷、野村家、兼六園、成巽閣、金沢城を見学した。当日、兼六園大茶会が催された。人数制限のため、ロシア人は畳のある屋内会場、本学関係者は野点(のだて)での茶会となった。ロシア人は正座がかなり辛かったようであるが、茶道のおもてなしの心に触れることができて、日本文化を堪能したことだと思う。ロシアでも日本の茶道は有名で、造詣が深い人が多いと聞いた。茶会後は、チーム毎に分かれ、兼六園、成巽閣、金沢城を見学した。筆者は、10年ぶりぐらいに金沢城公園を訪れたが、復元工事が進み、周辺の遊歩道も整備され、夕暮れ時と相まって非常に美しかった

夕食は兼六園・石川門前「茶屋 見城亭」で和食を取り、食後、東茶屋街を見学し、ホテル金沢へ戻り金沢での公式日程が全て終了した

今回のロシア人学生招聘プログラムは、日露青年交流センターの職員、本学の関係各位のお力添えにより無事終了した。日露交流センターによる帰国前のロシア人アンケートでは、金沢でのプログラムが大変良く感謝している旨の連絡があった。最後に、プログラムの主役として活躍し、会場の設営、撤収をした本学学生諸君並びに関係各位に御礼を申し上げ、拙稿の結びとする。

出村

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